風水と家相
風水と家相は、似ていますが実は違うものなのです。そもそも風水には、「陰宅風水」と「陽宅風水」があります。死んだ者を埋葬する際に用いる「陰宅風水」と、生きる者の住居に用いる「陽宅風水」です。中国では「陰宅風水」が主に行われていました。古来中国の人々は、死者が死後の世界で再生・復活できると考え、古来より土葬を行っていました。そのため、先祖の遺骨が台風や川の氾濫などの災害で流されると、子孫が絶えるなど末代まで影響を及ぼす災いを受けると信じられていたのです。そこで先祖の遺骨を守る埋葬地を選ぶことはとても大切なこととされていたのです。祖先の墓を立派にすることが生きている者に繁栄と幸福をもたらすと信じられているのです。ですから、中国風水と言えば、お墓をメインに考える場合が多いのです。
家相とは、主に生きる者に対して行われる風水、すなわち「陽宅風水」のことを指します。とりわけ我が日本では、こちらの風水の方が広く庶民に根付くこととなり、特に『家相』という名前で定着していったのです。とは言え、庶民に普及されたのも江戸時代のことで、奈良時代・平安時代にもたらせたとされる風水・家相は、それまで特別階級の者しか知りませんでした。天下泰平となった徳川幕府のもと、江戸時代においては、農地の開拓などの整備が盛んに進められました。次第に人口も増え発展していくのに伴い建築も盛んになりました。この頃、商人が手広く商売をし、財産を蓄え、豪華な住まいや蔵などをつくり資産を持つこととなり、この家業と財産を末代まで維持、継続、発展させたい。そういう思いから風水・家相の考えに注目が浴び、中国生まれの風水・家相が日本建築家屋と融合して行ったのです。
家相は、本来の風水と違って陰陽五行(おんようごぎょう)説に基づき、家の位置・方角・構造などから、その家に住む人の吉凶を判断します。太陽の光・風の流れ・大地の気(エネルギー)など、自然がもたらす恩恵を住まいに取り入れようとする生活の知恵でもあります。本来の風水が、地勢や方位、地脈を重視し家を建てる場所や墓を造る場所などを決めるものに対し、家相は、家そのものや敷地を整えていくという方法です。家相によって間取りや方位を決めていくと、自然に陽当たり・風通しの良い家となり、その家に暮らす者は健康な生活ができる。それは家族の安定であり、成功を導き、繁栄をもたらし、末代まで発展する・・『幸せ』につながっていくことになるのです。風水や家相を診断するということは、快適な生活を送るための先人の知恵なのです。
家を建てる際、間取りやインテリアに風水や家相を取り入れることは、快適な生活を手に入れるために必要なことではありますが、あまりこだわりすぎるとかえって暮らしにくくなるといったケースも出てくる場合もあります。風水・家相の基本的な要素・自分に必要な要素だけを取り入れるなど、こだわり過ぎず、ゆとりをもって風水・家相を取り入れるようにしましょう。
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